Sさんがほれ込んだ、シウリザクラの梁が住まいを支えている。「さまざまな野鳥が集まり、キカラシ畑が鮮やかな黄色の花を咲かせ、すぐそこをスーパー宗谷が走って行きます。まさに絶景ですね」と、LDKの大開口からの景色に目を輝かせる奥さん

熟練の腕で古材を生かした、道産木材100パーセントの自然に馴染む平屋

美深町・Sさん宅 家族構成/夫婦40代、子ども3人

道北地域の森林を研究する技術職員であるSさんは、森と木のプロフェッショナル。今後の転勤なども考え、美深町に拠点を設けようと家づくりを決めました。
山、空、草木が見える暮らしを希望したSさんが気に入ったのは、木造の母屋と納屋が建つ土地で、2棟とも築年数は相当なもの。中でも特に心を打ったのが、納屋の構造材として使われていた9mにも及ぶシウリザクラという広葉樹でした。「家具材や合板に使うのが主流の広葉樹を、構造材として使っていることに感動し、この素晴らしい古材を生かす技術のある会社を大前提に依頼先を探しました」とSさん。
構造材ではなく化粧梁としてなら可能という回答がほとんどを占める中、「よろしいですよ」と快く答えてくれたのが新濱建設です。快適な室内環境を実現するための住宅性能へのこだわりにも共感し、新濱建設との家づくりが始まりました。
2020年2月、カラマツの外壁、ミズナラの無垢床、天井はトドマツ、Sさんがほれ込んだ古材は梁や大黒柱、窓台や玄関の上がり框などに活用した道産木材100パーセントの平屋の住まいが完成。「森林資源を住宅などに有効活用するためには、大工の技術の継承が不可欠です。古くからの技術と最先端の住宅性能を併せ持つ新濱建設の家づくりこそ、環境に優しいものだと思いました」と、まるで森の中にいるような木の香りに包まれる家の中で、Sさんは語ってくれました。

Replan北海道131号 事例

■建築データ

□構造規模 木造(在来工法)・2階建て
□延床面積 142㎡(約42坪)
□主な外部仕上げ
屋根/オークリッジプロ30、外壁/道産カラマツ、建具/玄関ドア:キムラ 木製防火断熱ドア Tc-3、窓:YKK AP 樹脂サッシ(Low-E・トリプルガラス・アルゴンガス入)APW430
□主な内部仕上げ
床/道産ミズナラ材、壁/ケンコート、天井/道産トドマツ羽目板
□断熱仕様 充填断熱+付加断熱
基礎/ポリスチレンフォーム(B3)100㎜、壁/高性能グラスウール24㎏105㎜+高性能グラスウール24㎏105㎜、屋根/高性能グラスウール24㎏315㎜
□暖房方式 温水セントラルヒーティング

■工事期間 令和元年10月~令和2年2月(約5ヵ月)

  • 熟練の腕で古材を生かした、道産木材100パーセントの自然に馴染む平屋

    玄関の窓から見える景色はまるで絵画のよう。思いきり深呼吸したくなるような木の香りが出迎えてくれる

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    Sさん宅のメイン暖房は薪ストーブ。炉台はタイルで、炉壁は静岡県の溶岩板をSさんが自ら持ってきたそう

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    ゆったりとした広さを確保したL字型のキッチンは奥さんの希望を叶えたもの。玄関からシューズクロークを抜けて直接キッチンにアクセスすることができる

  • 熟練の腕で古材を生かした、道産木材100パーセントの自然に馴染む平屋

    階段を上ると広いロフトがある。テレビ台はSさんによる力作

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    階段下は書斎スペースとして活用。「程よくこもり感があってとても気に入っています」とSさん

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    トイレにも木を生かした手洗いや収納を造作。配慮の行き届いた気持ちいい空間になっている

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    2階のロフトは旭川の高校の寮に入っている長男が帰ってきたときに寝起きする場所でもある

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    ロフトとはいえ、大人が立っても頭がぶつからない高さを確保。20年ほど前に友人がつくってくれたテーブルを置いて、セカンドリビングとして活用している

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    カラマツの外壁を持つ三角屋根のSさん宅。雄大な自然を背景に建つその風景は、まるで物語の1ページのよう